夏めろ 二次創作SS

「よわよわお姫様」



 ――それは夏の終わり。

 まだ残暑も厳しい日曜日の午後。

 とある高級住宅地の一角。

 晴れた空から照りつける光を拒否するかのように、カーテンの堅く閉じられた家がある。

 静かな空間には、どこかひんやりとした空気が流れている。

 中の住人は、夏の暑さも気にしない。綺麗な空も気にしない。

 ――そこは、夏の終わるところ。


 ……率直に言って、俺は混乱していた。

 いまだに自分に何が起こっているのか、上手く把握できない。

 ……OK。状況を整理してみよう。

 俺は広々としたベッドの上に寝かされていた。

 このベッドの感触には記憶がある。蘭のベッドだ。

 身体にかけられているタオルケットも蘭のものだ。

 天井の模様にも見覚えがある。

 つまり、この家は蘭の家だということだ。OK。

 では、俺は何故、片方ずつ足を縛られてベッドにくくりつけられているんだろう?

 何故、俺の両手は手首で縛られて、俺の身体の上で空しく宙を掴もうとしているんだろう。

 しかも、おかしいのは俺の状態だけではなくて。

 広々とした部屋の片隅には、小さな人影が横たわっていた。

 見慣れたショートの頭と、華奢なその身体は。

「んーっ!う"ーっ!」

 ……つぐみ。俺の妹で間違いない。

 俺と目が合ったつぐみは叫ぼうとするが、口が塞がれていて言葉にならないようだ。

 着ているのはいつものショーツとちんまいパンツだけ。

 両手両足をテープで縛られて、口にもテープを張られて。

 転がされたまま、つぐみは苦しそうに身をよじる。

 最初は後手に縛られているせいで体勢が苦しいのかと思ったが――違った。

 パンツの中で、ピンクローターと思しき物体が小さな膨らみを作っている。

 びくり、びくりと擦りあわされる内股の中で、それはういいん……ういいん……と規則的な音を立てて震動していた。

 ……既に、蠢きの中心には小さな染みが見える。

「んーっ!んんんんっ!うー!」

 股間を見られているのに気づいたつぐみはぶんぶん首をふっていやいやをする。

 見ないで、と言いたいようだが、俺は憑かれたかのように目をそらすことが出来ない。

 眩暈が襲ってきそうな状況の中で、俺はやっと、ここに至る流れを思い出していた。


 ――両親が旅行で居ないという事で、蘭の家にお呼ばれしていた。

 で、いつもの流れでそのまま泊まることになって。当然やることはやって。

 いつもより蘭が大人しくて、あまりなじられたりしなかったのであれ?とは思ったのだけど。

 それでも当然の如く蘭に二回ほど中出しした後、急に眠くなって。

 蘭とする前にえらく甘いジュースをもらって飲んだように思うが、そこからの記憶はやや曖昧だった。

 ひょっとして、あのジュースには――と思ったその時、部屋の扉が開く。

「……おはよう、深町くん。起きたのね」

 ――蘭が、開いたドアの前で俺をじっと見ていた。

「おはよう……って蘭……俺に、何か飲ませた?それにこの状態――」

「そうよ。深町くんはお寝坊さんなんだから、本当に」

 男物だろうか、大きめのTシャツをワンピースのように着た蘭はあっさりと頷いた。

 それはつまり、俺の質問を肯定した、ということ――俺は、唐突に寒気を覚える。

「ふふ――よく眠れた?半日以上寝てたんだよ。あんまり退屈だったから、つぐみちゃんで遊んじゃった」

 淡々と――淡々と、蘭は呟く。まるでテレビゲームで遊んでいたとでも言うように、無造作に。

 彼女の目は、俺を見ているようで見ていない――黒く、深く、光を吸収する瞳。

「深町くんが早く起きないからだよ?悪いお兄ちゃんだよね――」

 蘭は手に持っていた無線コントローラーのスイッチを「最大」にする。

 同時に、つぐみの股間から響くモーター音が一気に大きく、激しくなった。

 ぎゅいぎゅいいん!ぎゅいぎゅいいん!

「ぐーーーーっ!う"んんんっ!!」

 ローターが暴れるたびに、たまらずつぐみは身をよじって呻く。

「おい!や……やめてくれよ、蘭っ」

「……ふふ、どうしようかな?ローターにはね、中が痒くなるローション塗ってあげてるの」

 その前は別のローターで四時間放置してたんだけどね、と蘭はあくまで俺ではない誰かに語りかけるかのように淡々と話す。

「深町くんが起きるの待てなくて、おもらししちゃったの。汚かったんだから。本当だよ?」

 だからおしおきで、もっと大きくて凸凹の奴に変えてあげたの、という蘭にたまりかねて俺は叫ぶ。

「なんで……なんでこんなことっ」

 しかし。次の一言で、俺の舌は凍ってしまう。


「――でも、お兄ちゃんのち○こはめられて毎日ぐちゅぐちゅになってるんだし、これぐらい大丈夫よね?」


 ……その言葉は。

「っ!蘭、それは……」

「つぐみちゃん、お兄ちゃんが気分悪くなったから迎えに来て、って言ったら飛んできたのよ」

「いい子だよね?私も、つぐみちゃんみたいな妹が欲しかった」

 俺とつぐみの秘密。それを知ってなお、蘭は微笑む。

「蘭……おまえ……」

「可愛いよね――お兄ちゃんが、手を出したくなるのもわかるわ――ふふっ」

 蘭は笑う。その笑顔が――怖い。

「……っ!」

「深町くん、どう?つぐみちゃん見て興奮する?――ああ、それともまだ局所麻酔が残ってるのかしら?」

 そこで俺もようやく気づく。何か、俺の身体はおかしい。

 俺がこんな状況にもかかわらずつぐみの痴態に興奮しているのは確かだ。

 だけど何か、下半身が鈍く麻痺しているような感覚と、どこか突っ張っているような感覚――麻酔?


 局所麻酔なんて、どこに?

「……私が生理の間、セックスできなかったから我慢できなくって、つぐみちゃんを強姦しちゃったのよね?」

 俺が戸惑ううちにも、蘭は一つ、また一つ言葉の弾丸を俺に放つのをやめない。

それは鋼鉄ではなく鉛の弾。鉛毒が動物を蝕むように、俺の身体に残り枷となって蝕む。

「――ああ、違うか。つぐみちゃんに誘われたんだっけ」

「んうーっ!んんっ!」

 つぐみは聞きたくないというようにいやいやをするが、それを嘲るかように蘭はさらに俺とつぐみを静かになじった。

「ケダモノよね、兄妹でサカっちゃうなんて。でも、これって私が悪いのかしら?生理のときにさせ てあげれば良かったの?どうなの?深町くん」

「……そんな、こと、言われても」

 自由にならない体をなんとか起こそうとした俺を、蘭は制する。

「ああ、動いちゃ駄目よ。今動くと針が刺さっちゃうから」

「……針?」

「まだわかんないのね……ふふ、深町くんのここ、今どうなってると思う?」

 ばさり、と蘭はタオルケットを取去る。

「ふふ……どうかしら?良く出来てると思わない?」

 ――瞬間、自分の目を疑った。

 俺の下半身は、トランクスも何も穿いていなかった。

 ――麻酔か。

 鈍っていた感覚のせいで、今まで気づかなかったらしい。しかもその光景は。

「……な、なんだよ……これ」

 ……仮性包茎の俺は、勃起していないときは当然皮がちょっと余っているわけだが。

 その皮が、魚釣りに使うような細いテグスで格子状に編まれていた。

 亀頭を取り囲むように、皮には十個以上の穴が開けられ、糸が通されている。

 今のところ、糸はきちきちに張られてはいない。 ……だけど。

 あくまで今は先っちょだけがかろうじて露出している程度だからまだ問題ないけれど。

 これでは、もし――

「……私がどうするつもりか、知りたい?」

 蘭がするっ、と留め針を抜いた。一瞬、ちくりと痛みが走る。

「つっ……」

「……痛かった?ふふ――うまいこと感覚が戻ってきたみたいね」

「うまいこと……ってどういう意味だよ?」

「このまま、気持ちよくしてあげるから……ね?」

 にこり、と笑う蘭。でも、その眼は全く笑っていなかった。

 黒く、昏い瞳の中の――闇。

 そして唐突に俺は蘭の意図を悟って、ぞっとする。

 ――ちょっと待ってくれ。この状態で。

 蘭の白くしなやかな指がゆっくりと、俺の先端に触れる。

 テグスごしに、皮の下の敏感な部分をつつくと、ゆっくりとまだ柔らかい幹を撫で回す。

 ――そんな事を、されたら。

 蘭の手は既に汗ばんでいて、それが潤滑剤となる。

 手がぬるりと滑って、ゆっくりと俺の陰茎を、袋を、亀頭を弄ぶ。

 それに反応してしまう俺の先端からは、少しずつ体液が滲んでくる。

 勃起して、亀頭がぱんぱんに張ってくると同時に、先端に糸がきりきりと食い込んでいく。

 ゆっくりと――少しずつ、少しずつ。

 じくじくと、ちくりと、痛みが生まれ、広がっていく。

 皮は引っ張られるけど、にもかかわらず怒張は突っ張っていってしまう。

「くっ……っ!あうっ……い」

「あはは……つぐみちゃん、見るといいよ……変態お兄ちゃんのおち○ちんがどうなってるか」

 蘭は熱に浮かされたようにつぶやく。

「あら、大きくなっちゃうよ?興奮してる?やっぱり興奮しちゃうの?」

 蘭は言葉をたたみかける。そして俺は嬲られているにもかかわらず、いつものように興奮してしまう。

「めちゃくちゃに犯して精液便所にした妹さんが深町くんのせいで苦しんでるのに、私にいじられて興奮しちゃうんだ?」

 どんどんたたみかける。言葉と手で、同時に俺とつぐみを嬲っていく。

「……私という恋人がいながら、妹にも手を出して弄んだ最低な牡の癖に……なのに妹に手を出されたら怒るの?」

 怒りも、罪悪感も、つぐみへの愛情も。

「なのに、私の手で感じちゃうの?」

 感情はすべて、蘭のもたらす快感に奪い去られる。

 言葉がどんどん熱を帯びるにつれ、蘭の手の動きは激しく、大きくなって、俺のペニスをぐちゃぐちゃにこねくりまわす。

 そのたびに俺も、脳をこねくりまわされるような快感と混乱を覚える。

「それってずるいよ、深町くん?……やっぱり深町くんって変態だよね」

 だから、と蘭はうっとりしたように囁く。

「……これからは、あたしもつぐみちゃんと遊んでいいよね?」

 いつしか、蘭が真っ直ぐ俺を見ているのに気づく。

 その黒い昏い瞳は俺を焦点に捉えた瞬間、俺を全て飲み込んでしまう。

「だって、私は深町くんのお姫様なんだよね?コイビトなんだよね?コイビトに隠し事は良くないよね?」

 蘭は俺の許可を求めていない。蘭が俺たちを支配すること、そしてそれを承認することだけを求めている。

「遊んでいいよって言ってくれたら、ここ解放してあげるよ……どうなの?」

 でも、だから、俺は反論も賛同も出来ないままで。何も言えなくて。

 俺の表情を見ていた蘭は何だつまらない、というような顔に変わる。

「駄目なの?ふーん……そっか。あたしよりつぐみちゃんが大事なんだ」

 それは違う――と言おうとしたけれど。

 いきなり睾丸をぎゅっ、と握られた。

「…………っ!!!」

 俺は悶絶しそうになって声が出ない。

 蘭がふん、と鼻を鳴らしてTシャツを脱ぎ捨てた。

 下着は――何もつけていなかった。

「ふふ……なら、このままで――してあげるね」

「……!」

 細く見えるわりに豊満な肉体を見せ付けるかのように、俺の腰の上に座り込む。

 そして腰をいきなりぶつける。いきり立った俺の陰茎を、今度は自分の恥骨でこねくり回す。

「うぐっ――いっ――いいんちょっ……!」

 ずりっ!じゅぶっ!ぎちぎちじゅぶじゅるっ!ぎちっ!

「ふふふ……あははっ!どう……あたしの恥骨でっ……お○んこでち○ぽの裏側こすられて勃起するの?」

 ぱんっ。蘭が俺の頬を平手打ちする。叩きながら叫ぶ。

「皮がぱんぱんの中身に引っ張られてるよね?痛いよね?――痛いって言いなさいよっ!」

 下半身は痛い。頬は痛くない。でも俺の心が――そして多分蘭の心も――痛い。

「痛い?痛いのよね?ふふ――あはは……っ……あううっ……」

 笑っているのに、何処か泣きそうな顔で蘭は腰を前後させる。

 秘裂が俺の陰茎の裏側を挟み、舐め上げてこすりあげる。

 蘭も既に愛液を溢れさせていた。

 自分の言葉で、俺の呻きで彼女はどんどん陶酔していく。

「――ふふっ……痛いくせに、こんなに硬くしてびくびくさせて……深町くんって、ほんとうに変態よね……」

 一旦動きを止めて身体を起こした蘭は、血の滲み出した俺の陰茎をいとおしそうに眺めて。

 ……それからゆっくりと、自分で濡れそぼつ秘裂に挿入していった。

「「うぐううっ!」」

 二人同時に声が漏れる。

 ……じゅば。ぎちぎちぎちぎちぎちっ!

 びしょ濡れの膣に入れてるのに、俺の陰茎はもう張り裂けそうに突っ張っていて抜き差しならぬ状態になっていた。

 送り込まれる血が全て痛みと快感を同時に増幅する。

「うふふ――痛い?苦しい?気持ちいい?」

 再び蘭が畳み掛ける。俺を熱に浮かされた眼で見下ろして、もはや抑制の外れた声で叫ぶ。

「どうなの?私の中、気持ちいいの?ぐじゅぐじゅって強制包茎ち○ぽ膣でこすられて気持ちいいの?」

 ぐじゅぐじゅぐじゅっ。じゅぱっ。蘭の陰毛が愛液と血と汗で泡立ち、絡み合う。

「ああっ……血が出てるよぉ……赤い……綺麗……!」

 俺と自分の股間から溢れる血の泡にうっとりしながら蘭は腰を動かす。

 俺に恥丘をごりごりこすり付けて、少しでも俺を深く奥まで収めようとする。

「ふふふっ……!深町君の処女膜が敗れたみたい。おあいこよね……はあっ……私だって、すっごく痛かったんだから……」

 ぴちゃっ。ぴちゃ、ぐじゅっ、ぐじゅっ。ぐちゅっ!

 どんどん腰の動きが速く大きくなる。

「どうなの?ねえ――どうなのっ深町くんっ……!」

 俺の下半身は再び麻痺していく。痛みなのか快感なのかもうわからない。

「ふうっ!……硬いぃ……どんどん大きくなるよぅ……深町くんの皮、最後まで持つの?……?ふふっ……あはっ!ああっ!」

 けれど何かだけが高まっていく。送り出されるのは血なのか精液なのか。

 俺の中で出口を求めて荒れ狂っている。

「いくのが先?それとも、皮がちぎれるのが先っ……!?……ふあぁんっ!」

 じっとしているのに耐えられなくなった俺は不自由な下半身を出来るだけ動かして下から突き上げる。 それに応じて、蘭もどんどん快感に溺れていくのが見ていてわかった。

「あうぅっ……だめぇ!自分で動いちゃ駄目ぇ……悪い子っ……悪い子ぉ……」

 でも蘭はそれを認めたくないのか、俺の乳首にぎちりと爪を立てた。

 つねられる。痛みが突き刺さる。血が滲む。

 だけど、いつかそれさえも快感に変わる。

 俺は――蘭から逃げられない。

「そうっ!そうよっ……わたしを……もっと……突き挙げて……おしおきしてっ……!」

 いつの間にか蘭は俺におねだりしている。脅迫しながら哀願する。

「いう事聞かない深町くんなんてぐちゃぐちゃにしちゃうんだからっ!深町くんが悪い子ならっ!私も悪い子になってやるんだからぁっ!」

 泣きながら俺を犯す。俺も合わせて腰を突き上げ、縛られた両手で胸を出来る範囲で揉みたててやる。

「だから……私もっ……ぐちゃぐちゃにしてえっ!ああっ!ナイロンがっ……糸が中に刺さるよぅ……ちくちくっ!ちくちくするのぉっ!!」

 ごりごりごりごりっ!

 蘭の腰が俺を錆びたカンナのように蹂躙して。

 ぎちぎちぎちぶちッ!

 俺の陰茎は剛直と化して蘭を凌辱する。

「あはああああっ、いやあああっ!深町くんっ!深町くぅんっ!」

 ……そして一際強く、蘭が腰を打ち付けた瞬間。

 ぶちぶちぶちぶちっ!!

 俺の何処かが千切れる音がした。

「あがああああああっ!」

 奔ったのは激痛か快感か。俺の意識は真っ白になる。

「精液っ!出るっ!蘭に全部出すよっ!委員ちょおあああああああああっ!!」

 血と精液と痛みと快感と、何が勝るとも言えない混沌の中。

 俺は絶叫とともに、蘭の中に放った。

 どくどくどくどくっ!びじゅっ!びじゅっ!!

「いやはああああっ!ふかまちくうあああああっ!!」

 蘭も同時に絶叫する。

 それは嘆きの精の叫びのように、自分から魂も何もかも奪い去る、けれどけして抗えない、そんな声だった。

 根こそぎにされた感覚とともに、ほとんど固形物と化した白濁が蘭の膣に、一番奥に、子宮口に叩きつけられる。

 その全てを搾り取ろうとするかのように、蘭の下腹は波打ってびくびくと痙攣し、最後まで俺の陰茎を締め上げていく。

「あはっ……ああ……出てる……深町くんの精液……血……私の中に……いっぱい……」

 身体をびくびくと震わせながら、蘭は糸の切れた人形のようになって。

 俺の上に、くたりと倒れこんだ。


 ――どのくらいそうしていたろうか。

 ゆっくり体を起こした蘭は、今度は俺の顔をまたぐようにしてひざ立ちしてにじり寄る。

「あ……?」

「舐めて」

 いきなり、そこを俺の唇に押し付けてきた。

 血と精液と愛液があふれ出す蘭の秘裂。

 いろんな色と匂いとかたちが混ざり合って、俺は一瞬何を見ているのかわからなくなる。

 けれど、もう反抗する気など霧消していた。

 むしろ喜んで舐める。ぴちゃぴちゃぴちゃ、といたわるように、ほじくるように、穿つように舐め、しゃぶる。

「うんっ……そう……いいよぉ……っやだ、また勃っちゃうんだ?」

 何かもう皮がほとんど千切れてる気もするが、にも関わらずペニスはもう元気になっていた。

 確かに鈍い痛みはあるけれど、すでに半ばどうでも良くなっている俺がいる。

「くすっ……深町くんってほんとに変態ね」

 それから蘭は嘲るように、部屋の隅に放置されていたつぐみを見やって――

「どう?つぐみちゃん……お兄ちゃんがサカってる所、ちゃんと見た……っ?」

 絶句した。そして、つぐみを見た俺もまた……声を失った。

 つぐみは、じっと俺と蘭を見ていた。

 嫉妬?悲哀?愛情?憐憫?

 解らない。けれど、つぐみは泣いていた。

 ただぐずぐずと、泣いていた。

 塞がれた口で、叫ぶことも出来ずに。

 おそらくは最初から最後までずっと、涙を流していた。

 ――一瞬、蘭の顔がくしゃくしゃになる。

 そのまま蘭も泣き出すんじゃないか、と俺は思ったのだけれど。

 だけれど、そうはならなかった。

(……ごめんなさい)

 一瞬そんな言葉も聞こえたような気がしたけれど。

 蘭の眼はすっ、と細められた後で、また妖しく煌いて。

 それから赤ん坊をあやすような優しい声で、つぐみに囁きかける。

「つぐみちゃん……?」

 次の蘭の言葉は、俺の平常心を再びあっさりと吹き飛ばしてしまった。

「……お兄ちゃんのお○んちん、欲しい?」

 蘭はゆっくりとつぐみに歩み寄って、その顔を覗き込む。

「……どうなのかな?」

 つぐみは泣き濡れた瞳で蘭を見上げて、一瞬迷うように俺を見たあと――こくり、と頷いた。

「……おいっ……つぐみっ……!」

「深町くんは黙ってて」

 蘭がぴしゃりと俺を制する。

「あたしはつぐみちゃんに聞いてるんだからね。でも……ふーん、やっぱりそうなんだ」

 蘭はもう平静な顔に戻っていた。でも、かえってそれが俺には怖い。

 さっきまでの優しい口調はそのままに、また底冷えするような空気を感じさせる。

「つぐみちゃんは、お兄ちゃんがホントに大好きなのね――いいよ。望みを叶えてあげる」

 両手両足と口のテープをはがした後で、蘭はこっちに来なさい、とつぐみを立たせる。

「ふふ――どう?お兄ちゃん、あたしの中でこんなになっちゃったのよ」

 後ろから急かすようにベッドのそばに連れてきた蘭は、つぐみに俺のどろどろになったペニスを示す。

 既に皮はたるんでいたが、あちこちの縁が切れて血の滲んだそれは、外見上は回復不可能なまでにぼろぼろに見えた。

 皮だけでなく、まだ小さな泡がこびりついた亀頭も精液と血と蘭の愛液にまみれている。

「先っちょ、切れちゃってる……すごい……いたそう」

 つぐみは恐る恐る俺に近づくと、はあ、と息をつく。

 蘭が背中や肩を押すたびに怖いのかびくびくしていたが、それでも俺のペニスから眼を離そうとはしない。

「つぐみちゃんは、お兄ちゃんのココが痛そうな時、どうしてあげたいの?」

「……え?えっと……かわいそうだから……優しくしてあげたいかも」

「……そう。じゃあ、そうしてあげたら?」

 そう静かに告げた蘭の声は、またトーンが違っているような気がした。

 つぐみも何か思うところがあったのか、こわごわながら振り返って蘭に確認する。

「……いいの?」

 つぐみのその顔には、恐怖よりむしろ憐憫があったように俺には思えたけれど。

 蘭はそれには答えず、無言でつぐみの頭を俺のそこに押しやった。

 それで腹をくくったのか、つぐみは何処かほっとしたように囁く。

「お兄ちゃん……優しく、ご奉仕してあげるからね」

 俺は、今度はつぐみに戦慄を感じる。

 あれだけ泣いた後のくせに、つぐみの目には間違いなく欲情が宿っていた。

 幼いくせに煽情的な笑みを浮かべてから、つぐみは俺に背中を向けてまたがってしまう。

「……何、言ってんだよ……っ!」

 殆ど千切れかけて、血が滲んでいるそれを、両手でそっと挟み込んだ。

「……ふん、妬けちゃうわね。ホント、深町くんも妹もムカつくんだから……」

 蘭の呟きももはや無視して、つぐみは目を半ば閉じたまま俺の陰茎に舌を近づけていく。

 後頭部が肩の向こうに消え、俺からは背中しか見えなくなる。

 ぴちゃっ。

 暖かい舌の先端がテグスと包皮の接合部に触れた。

「っ……うんっ」

 傷に唾液が染みる。ゆっくりゆっくりと柔らかい肉が蠢きながら俺をつつき、亀頭の形を傷を確認していく。

 その感触はあくまでも優しい。舌が皮膚を撫でるごとにつぐみは唾液をまぶし、音を立てて血や精液を舐め取っていく。

「ちゅぷ、ぴちゅ、ちゅぷんっ……」

「……ううっ、くっ……!つぐみぃっ……!」

 ひととおり舌先で亀頭全体を撫で回したあと、今度は俺のペニスを幹までじっくりと舐めしゃぶる。

「んくっ……ぴちゃっ……ちゅる……」

 それはもはやフェラチオと言うより、むしろ赤ん坊が母親の乳に吸い付くときのようで。

 自分の所有権を主張するかのように、口腔にペニスをぴったりと密着させたまま、ひと時も離そうとしない。

 傷を労わるように舌を押し付け、血と精液と愛液を最後まで舐め取り、こそぎ、こすり上げていく。

 その一瞬ごとに、俺の陰茎は血を送り込まれびくり、びくりと脈動する。

 また再び、内部の膨脹とともに俺の包皮は張り詰めつつあった。

 しかし既に切れている部分も多いため、先ほどより締め付けられる感覚は少ない。

 むしろ傷口が広がる感覚のほうが問題だったが、つぐみが滲む血を飽きずに舐めとる度に痛みは少しずつ麻痺していく。

 鈍い快感が段々、それに取って代わっていく。

 吸血鬼になったつぐみに血を吸われているような、そんな錯覚すら覚えた。

 そんなふうに目の前のペニスに夢中になっているつぐみのお尻は、俺の目の前でぴこぴこ揺れている。

 パンツから透けて見える秘裂から、いつのまにかまた雫が滴っているのに俺は気づいた。

まだ中にはローターが入っていたはずではないか――と思ったとき、その端っこがぢゅる、と無毛の縦筋を割って現れるのが見えた。

 お尻が揺れるせいで、中から出てきてしまったらしい。

 でも、このままだと俺の胸か顔に落ちてこないかな?

 今のところパンツが歯止めにはなっているけど、何か危なっかしい。

 両手が縛られているのであまり動きは自由にならないけど、なんとかして手で取ってやったほうがいいかな、と思ったとき。

「ふふ――」

 俺の表情に気づいた蘭がつぐみに近づくと、その股間をいきなり下からわし掴んだ。

 指先がパンツの中心にぐりっ、と食い込む。

「うむぅっ!むぐううううっ!」

 俺のペニスに吸い付いたまま、つぐみはいやいやをした。

「ふふ――ローター、電池切れちゃったね――でも、まだ外からでも形がわかる……凄い」

 パンツの上から蘭の指先がつぐみの秘裂と下腹部をぐりぐりこねくり回す。

 パンツは愛液なのか汗なのかあるいは漏らした尿なのか、もはや何ともつかぬほど濡れてびしょびしょになっていた。

 俺の目の前で、ひくひくする中身が透ける。蘭は隙間から指を差し込んでかたちを確認すると、感嘆の声をあげた。

「ほんとにちっちゃいんだあ……こんな中に、お兄ちゃんずぼずぼペニス出し入れしちゃったのね?」

「んんっ……ふぅっ……んんっ」

 つぐみは聞きたくないというふうにひたすらいやいやをする。

 それでもペニスだけは離そうとしないあたりが不思議だ。

 吸い付いたままのつぐみの目はどこかうっとりしたようにおぼろに霞んでいる。

 そんなつぐみの仕草と蘭のまた少しずつ熱を帯びていく嬲りの台詞に、俺は再び興奮してきてしまう。 自分と妹がなじられているのに、それすら快感に変わっていく。

「……ふうん、また、元気になっちゃうんだ……やっぱり、って感じ?なんかムカつくー」

 どんどん大きくなる俺のペニスを見て、つまらなそうに蘭は呟くと――にこり、と笑って、再び爆弾を投下する。

「もういいわ……つぐみちゃん。あなたのちっちゃいマ○コに、深町くんの変態ち○ぽ入れてあげなさい」

 ――それは、ほとんど無邪気とすらいっていい笑顔で。

「私は、つぐみちゃんの後ろをもらうから」

「……え?」

 当惑する俺たちを尻目に、部屋の隅から何か持ち出してきた蘭は、腰にそれを巻きつける。

 ようやく口を離したつぐみは、それが何かを認識すると、ひっ、と声を呑んだ。

 それは巨大な双頭のペニスバンドだった。しかも、それは人を模ったものではない。

 歪にネジくれて、節くれだったその形は。

「ふふ……ベヒモスのを模りして作ったのよ。勃たせてやったら興奮しちゃって大変だったけど……んんんっ……」

 ずぶずぶずぶ……と自分側のディルドーを挿入しながら、蘭はペニスバンドを腰に固定していく。  やっぱり牡は去勢したほうががいいのかもね、と蘭はその最中も俺を悪戯っぽい目つきで見ながら無邪気に笑う。

「深町くんも、あんまりおいたするようなら去勢しちゃえばいいのかしら?」

 その笑顔が俺をまた凍らせる。一旦元気になった俺のものがまた縮み上がりそうになった。

 ディルドーの大きさを測っていたらしいつぐみの顔が、どんどん青くなっていく。

「そ――そんなのを、お尻に?」

 ディルドーを撫でながら、蘭は笑って頷く。

「そうよ。これをつぐみちゃんのお尻に、ずぼずぼ突き刺してあげるの」

「い――いやぁああっ!だめぇ、そんなの入らないよぉっ!」

「いいからいいから、ね?」

 そう言って笑顔を貼り付けたまま、蘭はつぐみのパンツを一気に引き下ろす。

「いやあああっ!駄目ぇっ!」

「……うるさいわね」

 再びテープを持ち出すと、蘭はつぐみの目の前でちらつかせた。

「どうせ外には聞こえないけど、あんまり騒ぐとまた口に貼るわよ。息が苦しくて嫌でしょ?」

「……ふっ、うぐぅ……ううっ……」

 べそをかきそうになりながら、つぐみは頷くしかない。

「何よ……どうせこっちのバージンもお兄ちゃんがもう奪っちゃったんでしょ?今更いいじゃない、こんな便所穴」

 しかしつぐみは声を出さずにぶんぶんぶん、と首を振った。

「……え?まだしてないの?」

 黙ったまま頷くつぐみの前で一瞬止まった後、じろり、と蘭が俺を見た。

「……本当に?」

 慌てて俺も頷く。……確かに本当だ。

 そっちはまだ触れてもいなかった。大体、蘭とだってまだアナルは試していないのだ。

「……そう」

 一瞬、蘭が素に帰ったように見えた。

「んー、もう……仕方ないわね。初めてがベヒモスじゃ流石にかわいそうだし、そっちは深町くんにあげるわ」

 そう呟く蘭は、その時だけはいつもの穏かな委員長に見えた。

「……でも、今の深町くんのペニスで、つぐみちゃんのお尻にちゃんと入るかしら?入れる前にへたれちゃわない?」

 そう言われても答えようがないけど。

 そもそも誰のせいだよ誰の、と思ったけど当然口にはできず。

「困ったわね。うーん、でも、どうしよっかなー……」

 蘭は指を顎に当ててちょっと思案していたが。ややあってぽん、と手を叩いた。

「決めた。まずつぐみちゃんが、何とかしてお兄ちゃんのを自分でお尻に入れてあげなさい。その後で私が前に入れたげるから」

 そういって、蘭はつぐみを俺の上にどん、と押し倒した。

「あうっ……ほ、本当に……?」

 怯えた目で蘭を見るつぐみ。俺も、ただ一緒に見上げるしかない。

「……そうよ。やってよ」

 そんな俺たちに、静かに蘭が言葉を叩きつける。


「……やらないと、許さないんだから。二人の人生、めちゃくちゃにしちゃうんだからっ……!」


 はっ、と俺は蘭を正面から見る。声の質が変わっていた。

 先ほどまでのような大きな叫びではない、あくまで搾り出すようなその声。

 だけど、その言葉は今の俺には痛くて重くて、そして何よりも哀しくて。

「私を……仲間外れにしないでよぉ……」

 下を向いて、顔をくしゃくしゃにして俺にぶつける声は、壁に飲み込まれそうなほど小さかった。

「深町くんが……私をちゃんと見てくれなきゃ、やだよぉ……」

 いつしかベッドの横に座り込んで泣く彼女は――とても小さく、幼く見えた。


 それをじっと見ていたつぐみは、俺を振り返って囁く。

「……お兄ちゃん……いいよ」

「お前……でも」

「だって……蘭さん……かわいそうだもん」

 あたしは、お兄ちゃんのものだから――と、つぐみは呟く。

「ただの、お便所でいいから」

 俺を見て微笑む。それはどきっとするほど無垢で、同時に淫靡で……そして、愛しい。

「お尻も、使っていいよ……お兄ちゃんと、蘭さんのお便所にして……」

 そして、自分で後ろに手をやると、小さなお尻を、俺に向けて広げてみせた。

 ひくりひくりと、中心ですぼまりが蠢いている。

 ……もう、この流れに逆らうことなんて、出来やしなかった。

 ごくり、と俺は唾を飲んで、頷くと同時に顔を尻に埋める。

「あんっ……やっ……くすぐったいよぅ」

 せめて濡らして、多少なりともほぐしておいた方がいいだろう、と俺は舌をすぼまりに這わせていく。 ちろり、と舌が踊るたびにつぐみの小さな尻が揺れる。

 ぴちゃぴちゃと舐める俺の音に合わせて、再びつぐみは俺の陰茎を飲み込み、顔を上下させてしごく。痛みを忘れるほどの快感が、俺の脳も麻痺させていく。

「ぷはっ……」

 ややあってほとんど同時に口を離すと、つぐみの正面に立った蘭がその先を無言で促した。

「…………」

 つぐみは無言で頷くと、ゆっくり、ゆっくりとペニスの上に腰を落としていく。

「……持っててあげる」

 ベッドの横から蘭が俺のペニスをつかみ、つぐみのすぼまりの中心に亀頭を合わせた。

 ぬるりとした感触があった、一瞬後。

 つぐみが一気に腰を落としてきた。

「んんっ……ぐぅっ!ううっ!」

 ごりっ!ごりごりごりっ!

 ガチガチに硬くなった俺のペニスがつぐみの菊門をぎりぎりと蹂躙していく。

「ひぎぃっ!いたいっ!――痛いよぅ……っ」

 つぐみの背中から汗がわっ、と噴出す。ぎちぎちに身体が緊張しているようだ。

 さすがにまずいな、と思った俺はつぐみに声をかける。

「力……抜けよ。かえって痛いぞ」

 と言ってから気づいた。蘭がいつの間にか、つぐみの頭を優しく撫でてくれている。

「……大丈夫よ……大丈夫。つぐみちゃん、力を抜いてお兄ちゃんに任せるの」

「ふああ……蘭、さん……?ああっ……お兄ちゃんがっ……つぐみのしっぽになってるのぉっ……」

 蘭が撫でてやるごとに、つぐみは少しずつ落ち着いていった。

 絶え絶えだった息が少しづつ整っていくのに従って、俺のペニスも段々奥にずるり、と飲み込まれていく。

 文字通り抜き差しならぬ感触ながら、終わりの無いどこまでも続く穴。

 ローターの感触までは流石に解らないが、ペニスの裏側が皮一枚で膣とつながっている、という事実そのものが俺を興奮させる。

「……はあっ……はあっ……大きい……大きいよう……」

「……何とか、入ったみたいね。ふふ……じゃあ、次はあたしの番」

 頃合と見たか、蘭はすっ、と体を起こすと、ひざ立ちでつぐみにゆっくりと近づく。

 俺の足をまたいで、俺の上に座り込んだつぐみの秘裂の中心にディルドーを合わせていく。

 しかしつぐみは少々戸惑っているようだ。そういえば、つぐみの膣にはまだ――

「え?でも、ローターがまだ……」


「――それでいいのよ」


 ――そのまま蘭は、ローターが入ったままの膣内にディルドーをずぶり、と突き刺した。

「あぎぃあああああっ!」

 ぎりぎりぎりっ。ごりっ。ずりっ。

 凸凹のローターをさらに膣奥、子宮の入り口まで押し込む勢いでディルドーが侵入していく。

「……ふふ、どう?お兄ちゃん以外のものが、二つも中に入ってるのよ……?」

 牡犬のそれをかたどった歪で節くれだった異物がつぐみを犯す。

 泣き叫ぶつぐみは、蘭の言葉など殆ど耳に入っていないようだ。

「あふぁっ!ぎうっ!ひぃっ!いい、痛いっ!いたいいいっ!裂けちゃうっ!」

「んっ……あふうっ……我慢……しなさいよっ……!」

 蘭はそう言いつつも、そこからはある程度慎重に、ゆっくりと腰を押し出していった。

 ずぶ……と、やがてそれは三分の二程度進入したところでかろうじて止まる。

 それ以上は入らないようだ。

 しかし、つぐみは恐怖と痛みで依然として悶え泣いていた。

「いやああっ……つぐみ……つぐみ、壊れちゃうよぉ……ぱんぱん……ぱんぱんだよぉ……」

 言葉通り、ぱんぱんに膨れ上がった下腹部。

 肛門も膣口もギリギリと拡張され、今にも縁が切れてしまいそうだが、まだ幼い分柔軟なのが幸いしたのか、 なんとか今のところは流血もなく受け入れているようだ。

 とは言え、いつもより異物を二つも多く受け入れているのだ。しかも、膣を埋めるディルドーは俺のよりさらに歪で大きい。

 苦しくないわけはなかった。

「ああ……あふっ……ふうっ」

 肩で息をしながら、つぐみは必死でこの状態に慣れようとしているようだ。

 そんなつぐみの頬に蘭はちゅ、とそっとキスをしてから、今度は俺を急かす。

「つぐみちゃん、頑張ったね……ふふ、深町くんもぼさっとしてないで動いてあげないと」

「……でもっ……こんな状態、さすがに……」

 反論する俺。今はともかく、この状態で動いたらホントにつぐみは滅茶苦茶になってしまうのではないか。

 しかし、つぐみはけなげにも蘭の言葉に頷く。

「んっ……つぐみは……だいじょうぶだから……蘭さんもお兄ちゃんも……もっと気持ちよくなってっ……」

 ぐすぐす泣きながら、蘭と俺を交互に見て叫ぶ。

「つぐみを……二人の……お便所にしてえ……いっぱい出してえっ!」

 つぐみの涙を、蘭はそろりと愛しげに舐めとる。

「……可愛いよ、つぐみちゃん……」

 濡れた瞳でそう告げるとともに、腰をつぐみの幼い膣に打ち付けだした。

 ぱあんっ。ぱあんっ。一突きごとにつぐみが哭く。

「ぎぃっ!あぐっ!あふっ!いぃっ!」

「つぐみちゃんっ……御免ねっ、御免ねぇ……ああっ、ごりごりぃっ……響く、響くのぉ……」

 そういいながらも、陶酔した蘭は腰を打ち付けるのをやめようとしない。

 蘭もまた、泣きながらつぐみを犯していた。つぐみを犯しながら、双頭のディルドーは蘭の膣をも蹂躙していく。

「ああっ……つぐみちゃんがびくんびくんしてる……犬のち○こ、気持ちいい……?気持ちいいよね……私も……すごい……すっごいのっ……ごりごりするのぉっ!」

 そして俺もまた、ペニスの裏側で皮一枚を挟んで膣を蹂躙するディルドーの感触を感じて、より一層興奮する。

 アナルの奥深くまでペニスを打ち込んでいく。

 俺の包皮が、亀頭の傷がどうなっているのかなど、もはや頭の隅にもない。

 とっくのむかしに糸が千切れたのか、それとも皮が千切れたのか。

 すでに抵抗はなく、ただ焼け付くような熱さだけがある。

 ぎちぎちと肉棒を引き戻し、また打ち込むたびに奔る電気のような刺激があるだけだ。

 すべりが良くなったのがつぐみの腸が分泌する液のせいなのか、あるいは俺の先走りや血のせいなのか、それすらももう判らない。

「あはぁっ!ひぃっ!ひぐぅっ!ひぎぃっ!」

 凹凸のあるローターを中で玉突きするように、蘭のディルドーはつぐみの中で暴れまわる。

 そのたびにつぐみからはもはや意味を成さない叫びが発せられる。

 もはやつぐみの瞳からは焦点が失われ、ただ痛みとも快感とも知れない衝動に身を委ねるのみだ。  蘭によって、俺によって、奏でられる生きた楽器のように、ただ――使われていく。

 俺も蘭もただ、その先の快楽を求めて腰を叩きつける。

 つぐみを犯しながらも俺は蘭に、蘭は俺に犯されている。 俺はつぐみを通して蘭を、蘭はつぐみを通して俺を蹂躙し、……そして多分、互いを、つぐみを愛しく感じている。

 俺たちの全てが間違っていても、多分それだけは正しい事実。

「ああっ!つぐみ、つぐみ、つぐみぃっ!」

「お兄ちゃん……蘭さんっ……つぐみもうっ……もうっ!……あふぁっ……しんじゃう……しんじゃうぅ……だめえっ!」

「つぐみちゃん……深町くん……いいよ……いいよ……みんなで……みんなでぇっ!」

 俺は喘ぐ蘭の顔に、何処か解放されたような、あるいは慈母のような……そんな笑みを見たような気がした。

 そして、そう感じた瞬間に俺の意識ははじけ飛んで。

「うぐううううううううううっ!」

 つぐみの狭く深い穴の中に、文字通り搾り取られるように精を放った。

 どくどくどくどくどくんっ!ぶしゅぅっ!ぶしゅぅっ!

 叩き込まれる白濁につぐみもまた、一際大きな声をあげて絶頂する。

「あふあああああああああっ!あああああっ……おしり……おしりぃっ!いっぱいぃっ……」

「あはああっ!びくびく言ってるうっ!つぐみちゃんがっ……深町くんがっ……私にも伝わってくるよお……」

 つぐみの脈動に併せてびくん、びくん、びくんっ、と蘭の身体もまた痙攣する。

 蘭がひときわ大きく仰け反った瞬間、ペニスバンドと恥骨の間から何かが溢れた。

 ぴしゃ。ぴしゃ……びしゃあああああああっ。

「あっ……ああああっ……でちゃうっ!……あはあ……おもらししちゃうぅ……」

 口の端から涎をたらして、絶頂した蘭がそのまま失禁する姿を、俺とつぐみは脱力したまま見ていた。

 そして、つぐみの身体と俺の下半身を濡らすだけ濡らして放尿を終えた後。

 蘭はそのまま、糸の切れた人形のように、俺たちの上に倒れこんできた。

 俺は、それを見届けてからやっとのことで――意識を手放した。


 ――気を失っていたのは数分程度だったらしい。

 俺が目を開けると、つぐみはもう横に移っていて。

 俺の身体の上では、蘭がぐすぐすと泣きじゃくっていた。

「深町くん……つぐみちゃん……ごめんね……ごめんね……うえええええ……」

 俺は、何を言うこともできなくて。

 つぐみと目を合わせると、どちらからとも無く、頷く。

 そっと、縛られた腕のままで、蘭の頭を包んでやった。

「深町、くん……?」

 そのまま抱きしめると、つぐみも一緒に後ろから蘭に腕を回してくれる。

「……いいの?こんな私で……いいの?」

 俺もつぐみも、何も言えないままに。

 ただ、蘭をぎゅぅっと抱きしめた。


 誰が悪いんだろう?

 俺を独占しようとする蘭か。

 俺から離れられないつぐみか。

 どちらも好きでたまらない俺か。

 多分、俺が全部悪いんだろう。

 でも、どうすれば良かったんだろう?

 そして何より、これからどうすれば良いんだろう。

 悲観はいくらでもできるけど。

 俺はできるだけ、二人とも大切にしたかった。


 ――だから敢えて俺は、先のことは少しだけ楽観的に考えてみようと思う。

 例えばいつかまた、夏の海にでも行って。

 綺麗な空を、この三人で仲良く眺める姿を想い浮かべてみる。

 そんな都合のいい話なんてあるもんかと、馬鹿な俺ですら思うけど。

 だけど、今ぐらいは夢を見てもいいんじゃないか?

 そう思いながら、俺は目を閉じた。

 蘭を真ん中にして、俺とつぐみで、彼女を両側から抱いて。

 そのまま、眠りに落ちた。


 ――それは夏の終わりの出来事。

 次の夏を待ちわびる、最初の一日。


                    「よわよわお姫様」end.