遥かに仰ぎ、麗しの 二次創作SS

「Moon Flower」



Moon Flower


四月に入って最初の日曜深夜。

大方の学生や社会人が新たな春を迎えるこの時期は、この凰華女学院といえど例外なく忙しい。

僕もその例に漏れず、この時間まで事務仕事だ。

ここはみやびの部屋ではなく昔の僕の部屋。静かに仕事をしたいときはこちらを使うようにしている。

もっとも――今日に関してはここに居る理由がもう一つ。

零時を回り、日付が月曜に変わった頃――僕の部屋を彼女がノックする。

「マイロード。よろしいですか?」

「はいはい。どうぞ?」

 リーダさんが、そっと僕の部屋に入ってくる。

「――お嬢様は、おやすみになりました」

「もう寝付いた?ご苦労様、リーダさん」

「式典の準備で、だいぶ疲れていたようですわ」

「そうか。今日は僕もここで休むから、そっとしておいてやってくれ」

「わかりました。では――わたしもそろそろ下がらせて」

「ちょっと待って」

 ここに居る理由。まあそれは要するに。

「はい?」

 きょとんとするリーダさん。

「……いつか言ってくれた言葉のことなんだけど」

「……とは?」

「一生、僕に仕えてくれるって。あれは言葉通りの意味?」

 ――彼女と一回、ちゃんと話しておく必要があったから。

「もちろんですわ、マイロード」

「でも、そうしたらリーダさんは、仮に僕がみやびと結婚したとしたら、どうするんだ?君は君で幸福にならなきゃいけない。誰かと結婚したいと、思う事はないのかい?」

 リーダさんは微笑みながらも、むしろ心外です、というように答える。

「いまさらそんなことをお聞きになりますの?わたしは今すでに幸せですのに。今も未来も、貴方以外の主人を持つ気はありません」

 その口調はちょっとむくれているようにさえ聞こえるもので、僕は嬉しくなってしまうのだけど――しかしそれはそれとして。

「それはとっても嬉しいんだけど……その……なんだ」

 一回言葉を切る。

「えーと……ぶっちゃけリーダさん、男性とお付き合いしたことないでしょう?」

 ――ぐらり。

 リーダさんがよろめくのは初めて見た。

 直球すぎる表現にショックを受けつつも頬を赤らめるリーダさん。

「……それは、そうですが」

「つまりその……男性経験とか、無いでしょ?」

 どんどん赤くなっていくリーダさん。頬に手を当てる姿が可愛い。

「……それも……ご想像のとおり……ですけど」

「だから……もし誰かと結婚しなかったらさ。その……一生」

 真っ赤なまま頷いた後、はあ――と溜息をついてリーダさんは答える。

 眼をつぶっているのは照れ隠しだろうか?

「なるほど、得心致しました――ですが、慮っていただくのはありがたいのですが……わたしはその」

 一旦迷ったあと、今度は臆せず僕をきっ、と見て、はっきりと答えた。

「マイロード以外の方に、生涯肌を許す気はございません……っ」

 言ってから、さらに真っ赤になったけど。

 ――やばい。可愛すぎる。

 でも――でも、もしそうなら。僕に出来ることは。

「……じゃあ、僕がリーダさんを望んだら?」

 ピクリ、と体が震える。

「……ですが、それは」

「みやびはリーダさんなら許す、とは言ったけど」

「…………」

「その言葉をそのままに受け取る気はないよ。……でも僕は、リーダさんのの気持ちをきちんと受け止めたいし」

 何より。みやびのときと同じように。

「僕は――リーダさんを愛したい」

 出来る事は、自分の気持ちから逃げないこと――なのではないだろうか。

「その……」

 もじもじ、と両手の指を絡ませながら、リーダさんは真っ赤になって俯く。

 ぽつり、ぽつりと彼女はうつむいたまま、言葉をつむぐ。

「マイロードが、そうお望みなら……わたしは……いつでも……」

「……みやびが嫌がっても?」

「その……夜のご奉仕も、メイドの任務に無いではないと……思いますし……」

「ご奉仕と言う形であれば……あの子も……納得……でき……」

 一応自分の中でもみやびに対する言い訳が欲しい、ということらしい。

 まあ、その分みやびも愛してあげればいいことだ。

 ……都合良過ぎる考えだろうか?

 でも、二人とも受け止めるには、そうしなきゃいけないのなら。

 だから。僕はリーダさんの言い訳に乗ろう。

 彼女の全てを愛するために。

「いいよ。じゃあ、僕の愛するメイドさんに、ご主人さまに奉仕する任務を与える――それで、いいかな?」

「……はい。喜んで、ご奉仕させていただきます……」

 恥ずかしそうに、リーダさんは頷いた。

 さて。僕は改めてリーダさんにお願いをする。

「とりあえずマイロードはやめよう。今この部屋には僕とリーダさんだけだから」

「はあ」

 リーダさんは不満そうだけども、マイロードだとやっぱり僕が居心地良くないし。

「ただつかさと呼んでくれないか」

「それはいけません」

 断固として拒否された。そこはメイドとして譲れないらしい。

「マイロードを呼び捨てにはできません」

「うーん、そうか……じゃあ、つかさ様、でどうかな?」

 とりあえず妥協点。まあ呼ばれ慣れてるし。リーダさんも頷く。

「マイロード……いえ、つかさ様がお望みなら、それで」

 さて。ここからは今日の本題。というかむしろ罠だよリーダさん。

「ご奉仕の具体的な話をする前に、確認したいことがあるんだけど」

「は、はいっ?なんでしょうか?」

「あの日から何回も僕とみやびは同衾しているけど。その都度気になることがあってさ。たまに扉の外に気配を感じるんだ。誰だと思う?」

「…………」

「リーダさん。露骨に視線をそらさないで下さい……」

「……いいええその……だっ誰でしょうね……帝国軍人の生霊では?」

 正直に言いなさい。バレバレなんだから。

「僕と、みやびがしているところを、覗いていたんだろう?覗きながら興奮して、いやらしい処を濡らしていたんだろう?」

 すでにノリノリになってきている僕。

「!……ひどい。そんな言い方……ひどいですわ」

 耳を赤くして僕をなじるリーダさん。

 うん、確かにひどい男かも。

 ――だって、扉をちょっとだけ開けておいたのは僕だし。

 ……まあそれはそうと。

「でも、本当だろ?ご主人様に嘘は良くないな」

 ……まっかっかになって、リーダさんは答える。

「はい……わたしは……つかさ様と……あの子の……しているところを……見ていました」

 ふむふむ。続けて続けて。

「見ているうちに……その……変な気分になってしまって……部屋に戻って」

「それからどうしたのか説明してごらん?部屋に戻って、それから?」

「が……我慢できなくなってしまって……それで……ゆびを……」

「指を、どこに?続きを言って」

「その……わたしの……いやらしいところに……」

 続きを。さあ――その続きを。

「で……できません……」

「命令だよ」

「でも……」

「言いなさい。ほら『リーダは司とみやびのセックスを見て、オナニーしてしまいました』ってね」

「わ……わたしは」

「言うんだ」

「は、はいぃ……わ……わたしはっ……リーダはっ!」

 涙を浮かべて叫ぶ。うん、可愛い。

「オナニーしましたっ!司様とみやびのセックスを見て、オナニーしていましたっ!」

 言い終わって気が抜けたのか、へたへたと座り込んでしまった。

 うーん……みやび、起きないよな?ちょっとどきどきする僕。

 いや、今日はきちんと閉めてあるけどさ。

「……つかさ様……ひどいです」

 ぐすっ、と涙ぐむリーダさんには罪悪感。でも、もうちょっと追い討ちしてみる。

「そうか。リーダさんは、いやらしいメイドさんだったんだね」

「ごめんなさい……いやらしくて……ごめんなさい」

「謝ることはないよ。よく言えたね。リーダさんは……ほんとに可愛いよ」

 一旦言葉を切って、僕は主人としての言葉を告げる。

「可愛くて……もっと虐めたくなっちゃうくらいだけど」

 その言葉に、彼女は涙で濡れた目で僕を見上げる。

 ぞくっとするほど、綺麗だった。

 抑えた熱が滲む声で、僕に囁く。

「……虐めてください。いやらしいわたしに、罰を与えて下さい……つかさ様」

 そう来たら、僕だってもう止まれない。

「そうだね……いやらしいメイドさんには、罰が必要だね」

「はい……つかさ様のいやらしいメイドに……罰をお与え下さい」

 さて、どうしようかな。まず……そうだな。

「上、はだけて」

「……はい」

 エプロンを解いてから、背中の紐と留め金をはずして、ワンピースの肩から腰までをはだけさせる。

 真っ白で簡素なブラとその内側の同じくらい白い谷間が露になった。コルセットで押さえられているのでスカートがずり落ちることはないけど、上半身だけ下着姿というのは正直、非常にエロい。

 素晴らしい。うんうん。

 僕、人として間違ってる?正しいよな?

 ……まあ、それはともかく。

「じゃ……その姿で、まずはご奉仕してもらおうかな……口で、ジッパー下げて」

 跪いてもらった前に立つと、腰を顔の前に突きつける。

「……はい」

 ゆっくりと歯でつまんで、ジ……ジジジ、とズボンのジッパーを引きおろしていく。

「はあ……つかさ様……つかさ様の臭い……」

 昼シャワーを浴びたきりだから……少々体臭はきついかもしれないけれど、興奮したリーダさんには気にならないようだった。

「手を使わずに、口と舌だけで引き出して……咥えて」

「はい……」

 トランクスの穴を、リーダさんの舌が割る。

 蒸れた内側のそれを、ピンク色の舌が捉える。

「ああ……つかさ様の……」

 霞のかかった目で呟くと顔を押し付け、さらに唇を僕の股間に近づけていく。

 ちゅぷ、とまず先端に触れた。

 それからにゅるん、と滑るように、唇が柔らかい幹をなめっていく。

 ふぅ、ふぅという呼吸が苦しそうに僕の肌を撫でる。

 ……それだけでも、気持ち良いのに。

 くいっ。舌がねっとりと裏側にからめられ、僕の叢からそれが持ち上げられる。続いて唇でちゅく、と横向きに挟まれると、そのまま引っ張られる。

 うっ……やばい。すでにすっごく気持ちいい。

 リーダさんの唇に導かれて、僕の分身はちゅるん、と外気に飛び出す。

「うんっ……ふぁ」

 ぷるぷると揺れるそれはすでにだいぶ硬くなっていた。

 月光の下、リーダさんの唾でてらてらと光っている。

「ああ……これが……つかさ様の……」

 リーダさんはさらに潤んだ眼でうっとりと呟く。

「……舐めて」

「はい……」

 裏側を袋から亀頭まで、なぞり上げるように舐める。

 ぺろ……ぺろっ。

 先端を舌の先でねぶり、ほじくる。

 ぺろぺろっ。てろっ、ちゅる、ぴちゃぴちゃ、てろっ。

 どんどん僕は膨張していく。思わず声が出そうになる。

「うん……ああ……どんどん……大きくなっていきます……」

「「はあ……はあ……」」

 お互いの息が、どんどん荒くなっていく。

「今度は――しゃぶってね」

「はい……」

 にゅぷ。唇を割って肉棒が侵入していく。

 ぬるり。ぬるじゅるじゅぱっ。

 ゆっくりと腰を前後に動かすと、彼女もそれに合わせて口腔をすぼめ、舌を絡めてくれる。

「んっ……!」

 声が出てしまう。とっても気持ちいい。

 ……正直、溶けてしまいそうだった。

「リーダさん……興奮してる?」

「ふあい」

 僕を口にしたまま頷く。

 かいがいしく奉仕してくれるその姿を見ているだけで、背中に電流が走る。

 気を紛らすために、僕はさわさわと優しく彼女の頭を撫でる。

 髪の毛はさらさらしていて柔らかかった。

「もっと……激しくして」

「……ふあい……ちゅぷ」

 ちゅじゅっ。きゅるん。ちゅちゅちゅるっ。ちゅぽん。ぬるっ、きゅぽん。

 雁の部分をやわやわと唇で刺激しつつ、喉の奥から先端まで往復させる。

 その都度、幹にねっとりと舌を巻きつけつつ締め上げる。

「ああっ!リーダさん、リーダっ!」

 ぎゅいん、と急速に、さらに肉棒が硬度を増していく。

 腰が僕の意志を超えて動いてしまう。

 柔らかな唇に押し付け、湿った喉の奥に先端を叩き込んでいく。

 じゅぶっ!じゅぶじゅぶじゅぶっ!

「うふッ、うぐっ!」

 むせそうになるリーダさんの頭を押さえつけ、僕は腰をぶつける。

 唇と陰嚢がぶつかるぐらい、奥の奥まで。

 僕は腰を前後に動かし、喉の奥に亀頭をこすりつける。

「うんっ、うふっ、んんっ!じゅっ!」

 唇や顎の端から唾を垂らしながらも、彼女はけなげに奉仕を続ける。

「出すから……もう……すぐ……出るから、吐き出したら、駄目だよ」

「うううんっ!うふっ!」

 僕の腰に合わせて、彼女の唇と舌も回転が上がる。

 ぐにぐにっ。じゅぱ、じゅぱじゅぱっ!じゅぶっ!

「ああっ!出る、出るよっ!飲んで!飲んでっ!精液飲んでっ!」

(んはぁっ!くださひっ!出してっ!)

 僕を口にしたままリーダさんが懇願した、その時が限界だった。

 どぴゅ、どぴゅどぷどぷぐぷっ!

 おびただしい量の白濁が口腔内に打ち出される。溢れそうなそれを、リーダさんはむせそうになりながらも全部受け止めた。

「んぐ、えむ、うぐっ……ぷはぁ」

 ごきゅ。ゆっくりと喉が動き、僕の精を飲み干していく。

 ややあって、ごきゅん、と全てを嚥下すると、リーダさんはうっとりと僕を見上げた。

「……飲んでしまいました。……はぁ」

 ちゅぷん、と口から肉棒がこぼれた。

「……殿方の精液というのは……苦いのですね」

 僕はどろどろになった亀頭を再びリーダさんの唇に押し付ける。

「綺麗にして……」

「んっ、はい……」

 潤んだ目のまま彼女は再び口づけると、今度は舌をめぐらし白濁した汚れの全てを舐め取っていく。

「先っちょ……吸って」

「はい……うんっ……」

 亀頭をやんわりと含み、輸精管に残った少量の精液をじゅるじゅると吸い取る。

 ちゅる……と全て吸いつくした後口を離すと、つー……と唇と亀頭の間に唾と白濁が糸を引いた。

「リーダさん、おしゃぶり上手だね。練習してたの?」

 また真っ赤になっていやいやをするが、口にして否定はしない。

「正直に言ってね」

「……その……図書室に……夫婦の営みについて……ありましたし」

 そんな本があるんだ……でもSMポルノもあるらしいし、不思議でもないのか?

「あの子に……性教育をしたのは……わたしですし……ですから知識、だけは」

「知識だけ?実践は?」

「あの……その」

「練習したんだ?」

「……その……三月以降は……それなりに」

 ちょ……やる気満々じゃないですか。

「何を使って練習したの?」

「……言えません、そんなこと」

 頬を染めて、ぷいッと横を向いてしまう。

 ああ。なんて可愛いんだろう。

「さて……それじゃ次は後ろを向いて」

「え……?」

 当惑するリーダさんをベッドに手をつかせる。

「これ……いやです……こんな格好」

 後ろから改めてみる裸の肩と背中は想像以上に華奢で。

 窓からの月光に照らされて――とても、美しい。

 落としたら簡単に壊れてしまいそうな白磁のように。

 ……つつー。

「ひゃうっ!」

 真っ白な背中に指を這わせ、彼女が驚いた隙に僕はブラを外してしまった。

「くすぐったいです……つかさ様……」

 あえて無視しつつ、ぷるんと現れた乳房をやわやわともみしだく。

 ミルクのように滑らかな肌触り。こんなに体は細いのに、ふたつの果実は大きさも形も手触りもすべて申し分ない。

「自分で何されてるか見えないと、余計ぞくぞくするだろう?」

 乳首をこりこりといじると、それだけでゆらゆらと体をくねらせて悶える。

「ぅあっ……こんな姿勢……犬みたい……嫌です。あんっ……」

「興奮する?」

 スカートもばさりと捲り上げてしまうと、かたちのいいお尻が現れる。

 右手で胸をもみながら、左手の指でお尻を撫でる。

 下着をずらして、そのまま中心の綻びにそっと触れた。

「ひゃんっ!」

 びくり、と飛び上がりそうになるリーダさん。

「敏感だね……これから、リーダさんは僕にこの敏感なとこを犯されちゃうんだよ」

 ちゅく、ちゅく、ちゅく。指でそっと割り開いていく。指と下着と割れ目がこすれあう。

「ひどい……つかさ様、優しくしてください……こんなのいやぁ……」

 指を少しずつ出し入れして、入り口をほぐす。すでにびしょびしょだ。

 秘所は綺麗なピンク色だった。濡れかたこそ凄いけど、綻びはほとんどない。

 まばらに生えた色の薄い柔毛が濡れて白い肌にぴっちり貼り付いている。

「リーダさんのいやらしいところがよく見えるよ」

「ああっ、見られてる……恥ずかしい……わたしの……変ではないですか?」

「綺麗だよ。リーダさんの体は全部綺麗だ」

 僕は――それから下着を脱がせると、既に濡れそぼる秘部に亀頭の先端を擦り付ける。

 いつのまにかそこは、シーツにしたたり落ちるほどの洪水になっていた。

「凄いな……実はしゃぶってるときから、濡らしてたんだろ?」

「ああんっ……嫌……いやです……つかさ様っ……」

「いやらしいメイドさんには、お仕置きが必要だね」

「ああ……お仕置きしてください……つかさ様ぁ」

「どうして欲しいの?」

 肉棒を上下にこすりつける。秘裂をこねくり回し、真珠に亀頭の先端が触れる。

 太腿やお尻に亀頭がこすられてよじられる感じも悪くないけど。

「いやっ……じらさないで下さい……いやぁ……」

 お尻をもぞもぞさせて、涙声のリーダさんがおねだりする。

「おかしいな。本来はリーダさんが、僕にご奉仕してくれるはずだろう?」

 目の前の光景が可愛すぎて、ぞくぞく。……僕、変になってるかな?

 でも、なんかリーダさんもそれで興奮してるし。

「ああ……わたし……ご奉仕します……させてください」

「……僕は、いやらしい犬みたいな格好をしたリーダさんの処女を奪ってあげたい」

「は……はい……」

「リーダさんはどうやって、僕に奉仕してくれるのかな?」

 可愛いお尻がまたぷりん、と揺れた。

 きっ、と横顔を振り向けて。でもさらにお尻では無意識におねだりしているリーダさん。

 無言の眼には本当に涙が浮かんでいる。

 引き結ばれた口があなたは本当に酷い人ですね、と言っている――ごめんなさい。

 はい、僕は酷い男です。でもやめません。

「言って見て」

 だって。リーダさんも、それを望んでいるから。

「酷いひとです……ぃっ……いやらしい犬みたいなわたしの……処女を……奪って下さぃ」

 本当に――可愛い。

 だからまた、ちょっといじめたくなる。

「いくよ。力……抜いて」

 腰を当てて亀頭をゆっくりと秘所にねじこんでいく。。

 ちゅい……と裂け目を割って亀頭が侵入する。

 濡れていてもまだまだきつい中を進めるうち、何かに阻まれた。

「ああ……」

 一呼吸して、リーダさんの緊張が一瞬緩んだのを見計らって。


 ――いきなりずどんと奥に突き込む。


「ひぎっ!」

 ぶちり、と何かが切れる音がした。

 亀頭はあっさり膜を突き破り、深奥に到達する。

「いっ……いあはああっ!」

 リーダさんの背が大きく反り返り、白蛇のようにびくびくとうねる。

 この瞬間にリーダさんは、もう処女ではなくなった。

 ――僕が、奪った。

「……痛い?」

「はあ……だ、だい……じょ……ぁぅ……」

 そう。だから僕も、もうさん付けはやめよう。

 リーダは――僕のものになったのだから。

 ずるり、と肉棒をゆっくりと戻す。

「ひっ……」

 幹はわずかに赤く染まっているが……出血はさほどではないようだ。

「ゆっくり……するよ」

「……だい……じょうぶ……ですから。もっとお仕置き……してください」

 けなげな言葉に、ちょっと罪悪感。

 今度はいたわるように、ゆっくりと出し入れする。

 でも直ぐに、注送はスムーズになった。

 ちゅぷ、ちゅぷと潤滑液がどんどん湧いてくる。

 秘裂も膣もびしょ濡れだ。まだきついけど、やわやわと解れて締め付けてくる。

 初めてでも、体が華奢でも反応はもうすっかり大人の女性。

 突く。突く。突くたびにぴちゃぴちゃと接合部が泡立つ。

 ぱんっ、ぱんっ、とお尻と僕の腰がぶつかり合う。

「あうっ!ああっ、ひぃっ!あふぁっ!」

 真っ白な背がうねる。飛び散るのは汗か互いの体液か。

 たっぷりした太腿のガーターが僕の下半身とこすれあう。

 腰を捻って突きこむたびに、かわいらしい悲鳴をあげる。

「いやっ!こんなっ、いやああああはっ!ああっ!」

 そこで僕は、いきなり動きを止めた。

 リーダが手をついたまま振り返って僕を見る。

 その状態でも、膣は微妙に蠢いて僕を刺激する。

「あ……」

「いやっていったよね?」

 愛しい彼女に、またちょっと意地悪。

「あう……あの……」

「やめて欲しい?」

 真っ赤になって、リーダはふるふる、と首を振る。

「なら、言ってご覧。『やめないで、もっと犯してください、つかさ様』って」

 躊躇った末に、リーダは復唱する。うーん……このパターン、癖になりそうで怖いな。

「やめないで……下さい。つかさ様……もっと……もっとリーダを犯してください……」

「……じゃあ、体勢を変えようか」

「あぅ……?」

 ベッドの上に背中をそっと押す。

 とさり、と彼女の細い体が横たえられる。

「仰向けになって……自分で脚を広げるんだ」

「ああ……恥ずかしい……」

 両の太腿を広げさせ、自分の手で秘所に触れさせる。

「ぐちょぐちょだ……いやらしいね、リーダ」

「やあ……ひどい……ひどいです……」

「自分で広げてみてよ」

「いやぁ……恥ずかしいです」

「ご主人様の命令が聞けないのかい?」

「ああ……ふぁ……」

 先に穿たれたままの綻びは既に奥が覗けるくらい開かれていたが、それをさらに白い指で唇を広げさせる。

 くぱぁ、と開かれる、濡れそぼつ花園。ぽつりと覗く突起が可愛い。

 そうしている間にも中からは真珠が一滴、また一滴。

 ――世界で一番綺麗な花が、蜜を溢れさせている。

 顔を近づけ、ちろりと突起を舐めてやると

「ひっ!ひぁっ……駄目、駄目ですぅっ!」

 身悶えるのが可愛くてもっと舐る。ちろっ、ちろちろっ。

 秘裂の襞を唇で挟んでみたり、舌を奥までねじ込んでみたり。

「やぁっ――あぅっ、いやっ……ひぃっ!」

 くじり、しゃぶり上げる都度、中から蜜が染み出してくる。僕は夢中で甘い蜜を啜る。

「はぁ……はぁあぅっ!もう……じらさないでぇ……」

 びくんびくんとおなかが波打つ。もうリーダは顔中涙と唾でべとべとだった。

 でも――だからこそ、とっても綺麗だと思う。

 いつも理性的な彼女が我を忘れて乱れる姿は、本当に綺麗で可愛い。

 だからこそ、また虐めたくなっちゃうんだけど。

「お慈悲を下さい、って言ってみて」

「ああ……意地悪です……お……お慈悲を……下さいませ……つかさ様……」

「じゃあ今度は『つかさ様のおちん○ん突っ込んでください』って言ってみて」

「や……そんな……」

 露骨な猥褻語に、さらに情けなさそうな顔になる。

「言ってくれなきゃ、あげない」

「いやあ……ああ……つ、つかさ様の……お、おちん○んを……つ……」

「つ?」

 もうやけくそ気味に、リーダは泣きながら叫ぶ。


「突っ込んでくださいっ!リーダのお○んこにっ!つかさ様のおちん○ん、突っ込んでくださいぃっ!!」


 はい、よく出来ました。ごめんね。

 ……そっちのほうまで言うとは思わなかったけど。

「突っ込んであげるよ、リーダ」

 再び突き込む。もう一切遠慮なく、奥の奥まで。

「は……あひぃっ!」

 ゆっくりと戻して、今度はゆっくりと、また奥まで。

「はぁあ……また……入ってく……ひぅっ!ひぃっ!」

 今度は浅いところで、短く、小刻みに早く。

 突く。引く。挿す。ねじるように、こそぐように腰を動かす。

 引き戻すごとに、肉壁が吸い付くように纏わり付いてくる。

 突くごとに、赤ん坊の手で握られているように締め付けられる。

「あひぁっ!はぁっ!ふぁっ!ひゃふっ!!」

 ぱんっ。ぱんぱんぱんっ。溺れていく。

 僕の腰の動きも、どんどん切迫していく。彼女の腰が、それを迎え入れて蠢く。

「リーダ……リーダっ!」

 悶える彼女の唇を奪う。舌を伸ばして、彼女は答えてくれる。

 絡みあう舌は甘く優しく、僕を包む膣は温かく緊密だ。

 上と下の口、両方で僕らはつながっている。

 自分の尾を喰らう一匹の蛇のように、僕らはさらに一つに溶け合っていく。

 限界が近づいていた。僕は最後のスパートをかける。

「リーダっ!リーダっ!出すよ、出すよっ!僕の精液を、全部っ、全部!可愛くていやらしいリーダの子宮にぶちこんであげるよっ!」

 ぐちゅっ!ぱんぱんぱんっ!ぱんぱんぱんっ!

「あああっ!あなたっ!あなたぁっ!つかささまあああっ!リーダは、リーダはぁあっ!あなたのっ!あなただけのっ!リーダですぅっ!!

 リーダはもはや何を言っているか不明なほど悶え狂っている。

 かたちの良いの良い乳房をもみしだき、ピンク色の小ぶりな乳首を舌で転がす。

 その都度にリーダの身体全体がくねりさらに乱れていく。

 僕の下半身から僕の全てが湧き上がっていく。

 血が逆流し、感覚がその一点に集まっていく。

 出す。リーダの全てを僕の精液で塗りつぶす。

 彼女の全身に、その主人を刻み付けるために。

「あはあっ!わたひにぃっ!くださいっ!いっぱひくださいいいいっ!」

「ああっ!出る!出る!精液出るよっ!出るああああああっ!!」

 一番奥まで、突き破らんばかりの勢いで叩き込んだ、その瞬間。

 ぎゅうううっと、僕の下半身にからみつく彼女の足が僕をひきつけた。

「あぅあああああああああっ!!あなたぁっ!せいえきぃっ!くださひっいいいっ!!」

 僕をあなたと呼んだ彼女の、その言葉とともに意識は真っ白になって。

 僕はリーダの、一番深いところに。

 ――長い長い射精をした。

 どぷっ!どくどくどくどくどくどくどぴゅぅっ!!

 連続して打ち出される白濁が子宮を叩く。

 リーダの膣は別の生き物のように蠢きながら、僕から精液を搾り取っていく。

「あああああっ!!あっ……あっ……あぁ……はぁ……」

 びくん、びくんとリーダの白いお腹が上下している。

 自ら精を体に染み込ませようとするかのように、僕を包みこんだままぎゅっと抱きしめる。

 最後の一滴まで出しつくしそのまま上に倒れこむと、僕もそっと彼女を抱きしめ返した。

 ややあって、開ききった彼女の秘裂から力を失った僕の肉棒がこぼれると同時に、ごぼりと僕の精も一緒に溢れた。

「出てきてしまいましたね……」

「拭いてあげる」

「……ありがとうございます」

 僕が彼女の身体を拭いてあげたあと、二人はまた横になって見つめあう。

 リーダは――愛おしそうに自分のお腹を撫でながら、僕を見つめる。

「まだ、何か入っているみたいです……」

「激しくしてごめんね。痛かった?」

「大丈夫です。……ありがとうございました、つかさ様」

 月光の射すベッドの上。

 横たわって僕たちは向かい合っている。

「ん……何がありがとうなのかな?」

「わたしを――愛してくださって」

「――いつだって、僕はリーダを愛してる。世界でただ一人の、僕だけのメイドさんをね」

「嬉しいです……つかさ様」

 互いの息を感じるほど、身を寄せ合っている僕ら。

 普通の関係ではなくて、だけどとても普遍的な関係である僕ら。

 家族であり、愛する人。単純であり、複雑な答え。

「――わたしは、なにも証は求めません。あなたの妻の座はあの子のためのものです」

 主人、仕える人。だけど結局、言葉は何でもかまわない。

「それでも――わたしは、ずっとあなたの傍にいたい」

 リーダは僕を見る。あのときと同じ、真っ直ぐな目で。

「貴方の傍で、わたしは貴方に生涯を捧げ仕えます。貴方の影の中に立ち、貴方とともに生きるために。たとえ死が二人を分かつとも、あなたは――わたしの生涯ただ一人の主人です」

 真摯な性格そのままに、嘘偽りない彼女の言葉が僕を押してくれる。

 だから。僕も、真っ直ぐに答えよう。神や世間がなんと言おうとも。

 僕は、彼女たちを生涯、ともに愛し続けると。

「――僕も誓おう。あの子も君も、等しく愛し、等しく幸せにすると。君に対して僕が出来る全てで」

「はい――誰がなんと言おうと、神様はわたしたちを祝福してくださいます。ただ愛のみが……結婚を神聖なものとするのですから」

 誰の言葉だったろう。トルストイだったろうか。

 本人の意図とは逆かもしれないけれど、今の僕らには相応しい言葉かもしれない。

 愛があれば、それだけで神聖。証など無くとも、僕らはすでに祝福されているのだから。

 彼女が主人である僕に仕えるように、僕は愛する家族である彼女に仕えよう。

 僕らの生の最後のときまで、愛しい彼女は慈しむような笑みで僕に言うだろう。

「わたしは幸せです、マイロード――いえ、あなた」

 だから僕も、その都度答えよう、いつでも、どこでも、何度でも。

「僕もだよ――リーダ」

 そうして互いを抱きしめあって。

 月の下で、僕たちは――もう一度、長い口づけを交した。



P.S.


 翌日。

「んー」

 何やら朝から思案している理事長。

「どうした、みやび?」

 じろり、と寝不足っぽい眼で僕を見て言った。

「月水金はあたしだ」

「へ?」

「火木土はリーダと寝るがいい、つかさ様」

「ななななにょ?」

 とっても凶悪な眼でにやり、と笑うみやび。

 ぽん、とほうってくる何やら小さな機械は。

 …………。

「とっ盗聴器っ!!」

「ふはははは!あたしの耳から逃れられると思うなよっ!おかげで昨日はちっとも寝れやせん!責任とれっ!」

 意地悪な口調を装いつつ、とっても楽しそうに笑う。

「今度から日曜は三人で寝よう。拒否は認めん。理解したらみやびちゃんぷりちーと復唱しろ」

「ちょ……ちょっと待てええい!」

 そんな一週間を送っていたら数年で搾り滓になること間違いなしだ。

 いや、僕が我慢すればいいのかもしれないけど、二人の誘惑を退けるのは僕にはとっても難しいわけで。

 ……つか、どう考えても絶対無理。

「死ぬから無理!そんなこと言うみやびはもうぷりちーなんて呼んでやらないぞ!」

「うるさい。口でクソたれる前と後にぷりちーといえこのエロ秘書め!おはようからおやすみまで常にみやびちゃんぷりちーとゆえーっ!」

 リーダはそんな僕とみやびを見ながら、頬に手を当ててにっこりと微笑む。

 彼女はとても幸せそうに笑う。

 それがきっと僕らの日常。

 ――どこにでもある、終わらない物語。



                    「Moon Flower」 end.