――秋も深まったある日のこと。
美夏が相談を持ちかけてきた。
「……短パンライヴ?」
「そそ。一年生が文化祭で短パン喫茶やったっしょ。そのパクリみたいな?」
「何処でやるんだよ」
「あたしたちが使ってるスタジオの人が今度ライブやんのよ。そんとき前座で出てくれないかーってさ」
で、どうせなら目立ちたいじゃん、と美夏は言う。
「それで思いついたのがあれかよ」
メンバー全員体操服に短パン、なのだそうだ。
橘花は前のライブでチア衣装を着たくらいだし美夏は普通に似合うだろうからいいとして。
「……俺も?」
「へへー、まーね」
それは嫌だなあ……
「橘花はなんていってた?」
「最初はやだって言ってたけど、ライヴ会場、空調も弱いからどっちにしろ軽装のほうがいいよっていったら納得してくれたさ――でさ、アンタの彼女に頼みがあるんだけど」
……秋ちゃんをどうしようというのだ。
「何だよ。売り子でもやれってか?」
「そーそー。あの子短パン喫茶で一番人気だったみたいだしさー」
マーチャンダイズ売りが人手不足なので手伝って欲しいのだという。
「マーチャンダイズ? 何売る気だよ」
「橘花たんのハアハアな歌声入りCDとかうちらのライヴ写真入りTシャツとか売るのよん。ポロリはないけどちらりはあるぜ?」
「……商魂たくましいなあ、お前」
だいたい、ハアハアな歌声ってなんだよ。
着エロボイスみたいなものか?
まあ、それはさておき、秋ちゃんの事だが。
「……危険とかないんだろうな?」
「大丈夫だって。女子柔道部の面々に会場とステージのガードお願いしてるから」
……むむー。
どうしたもんだろ。
で。
今日はスタジオでリハーサルの日、なのだけど。
「……あれ?」
「あー、先輩! 待ってましたよ」
「なんで秋ちゃんもいるの?」
「なんか、ポスター撮るから来て、って中里先輩が……」
「……それでその格好なのか」
学校で喫茶をやった時と同じ短パンスタイルだった。
……うーん。
相変わらず可愛いな。
「で、もう撮ったの?」
「おー。上手く撮れたさー。橘花がちょっと遅れるみたいだから、深町は秋ちゃんと休憩してていいよん」
スタジオの奥から顔を出した美夏がひらひらと手を振る。
「遅れるって、どれくらい?」
「三十分くらいかなー。後詰まってないから、スタジオの人もいいよって」
ふーん。
「あー、それならその間撮った写真見てもいい?」
「だっだっ駄目です! 先輩は見ちゃ駄目!」
何故か照れる秋ちゃん。
「何でだよ。ポスターに使う写真ならいいじゃん」
「それが、その……中里先輩が撮った写真はほとんど没にせざるを得ず……」
「えっちくて可愛かったのにねー♪」
ニヤニヤしてる美夏。
「えっちなのはいけないと思います!」
ああ、なるほど。
……それなら、まあ、それで。
「あー、判った判った。じゃ、秋ちゃん、一旦出ようか」
「――はい、先輩」
――で。
俺と秋ちゃんはスタジオ裏の倉庫スペースに来ていた。
……なぜこんなところに?
いや、秋ちゃんに手を引かれて連れてこられたんだけどさ。
「あの……実は最近、ちょっとトレーニングさぼってたら太っちゃって……そしたら」
ああ。なるほど。
食欲の秋だしね、うん。
「すれて……なんか痛いんです」
それで、短パンが。
文化祭のときは問題なくはいていた短パンが。
内ももとかその辺の微妙なところで、すれるようになった、と。
「サイズ替えればいいんじゃないの?」
「だって……悔しいじゃないですか」
そういうものだろうか……
とは言え、ちろちろと秋ちゃんの短パンから覗く白い太ももを見る限り――
「別に太ってないと思うけどなあ」
むしろ色んな所が女の子らしくなってきたというか。
胸とかおしりとか……いやいやいや。
そんなことを思っているうちに、秋ちゃんが取り出したのは軟膏タイプの塗り薬。
「トイレでやってもよかったんですけど……せっかくだし」
「せっかくだしって……え?」
「……その……先輩に……塗ってほしいな、って……」
「………………ああ」
なるほど、そういうことか。
さすが秋ちゃん。俺のやりたがることを良く判っている。
ぶっちゃけ嬉しい――けど、ほいほい言うとおりにするのも、それはそれでがっついてたみたいで嫌だなあ。
――それなら。
「……見てあげるから、秋ちゃん、自分で塗ってみてよ」
「……えー。でも……ここで?」
倉庫の中は電球も暗めで、若干カビ臭かった。
体操服に短パン、という姿の少女と向かい合う場所としては結構背徳的、かもしれない。
「むしろここだからいいんじゃないか。体育倉庫っぽいし」
「……先輩、やっぱりひどい人です……」
そう言いつつも拒否はしない秋ちゃん。
うむうむ。普段から仕込んでる成果だな。
備品のパイプ椅子に秋ちゃんを座らせて、俺はそこからちょっと離れて立つ。
椅子の場所はちょうど電球の下になるので、秋ちゃんにはスポットライトが当たっているような格好になる。
「うう……恥ずかしい……」
「自分から話振っといて、そういうこと言うかなー」
「思ってたよりずっと恥ずかしいです……」
「……じゃ、塗ってみて」
「うう……」
秋ちゃんは指先に軟膏を付けると、もう片方の手で短パンをずらす。
擦れた場所が赤くなっているのが見えた。
「あ、けっこう痛そう」
「ヒリヒリするんですよぅ……んっ」
ぬりぬりぬり。
秋ちゃんの指がゆっくりと患部をなぞっていく。
……うーむ。
やべえ。
思ってた以上にエロい……
白い指と軟膏が赤くなった肌にこわごわとタッチしてる感じが何かもう。
やっぱり、塗ってあげようかな……と、思っていたら。
ぬりぬりぬりっ。
「……あれ?」
「………………」
秋ちゃんの指は、止まらなかった。
赤い肌の上。太もものさらに奥。
短パンの中にも、指は侵入して軟膏を塗る。
ぬりっ。ぬりぬりっ。
擦るように、奥に軟膏を塗りたくろうとするが、うまくいかない。
「んっ……上手く、塗れないです……うー」
「……脱げば? 短パン」
「いやぁ……だって……それじゃ……」
「でも、いじりたいんでしょ?」
「……そんなこと、ないです」
「いいんだよ? 自分で、いじってごらん」
見ててあげるから――そう言ったときの俺は、さすがにちょっとSっぽかったんじゃないかと思う。
でも、まあ、この状況なら仕方ないよな。
「うー……先輩が、そう言うなら……」
――ぱさり。
秋ちゃんはゆっくりと短パンをずり下げて、下に落とした。
控えめにフリルのついたかわいいパンツが露わになる。
お洒落というより、可愛らしい――そんなパンツだ。
うむうむ、リクエスト通り――と頷く俺は秋ちゃんはややジト目でみる。
「やだ……先輩、よだれたらしそうな目で見てます……」
「そりゃ、秋ちゃんが可愛いからだよっ……と」
「ひゃんっ!?」
かぶりつき状態で、顔を秋ちゃんのそこに近づける。
「ちょっと……先輩?」
「――ほら、続けて?」
「やだ、顔近いですよぉ……恥ずかしい」
「いいから」
「うー……やっぱり先輩はひどい人です……変態です……」
「でも秋ちゃんだって……ほら、もうシミができてるよ?」
「嘘ですよぅ……んっ」
そっと、布地の上から舐めてみる。
「ひゃうっ!」
ざらりとした感触の下に、湿り気と、女の子の匂い。
「駄目ですよう――」
ごめん聞こえない。
隙間から指を挿し入れると、あっけなく扉は開いた。
ぬるり――ぴちゃっ。
ゆっくり出し入れするたびに、後を引く音がする。
「なんか音がするけど――これは何かな? 秋ちゃん」
「あううう……、先輩は意地悪です……わかってて言ってます……」
「そうだね。俺は意地悪かもね……」
んー、ここまで準備出来てるなら挿れたいけど――そんなに時間ないよなあ。
「秋ちゃん、欲しい?」
「先輩こそ――したいんですよね?」
お、反撃してきた。
太ももを閉じて、俺の手を挟んでしまう。
「駄目ですよっ……ここでしてて見つかったら、美夏さんに後で何言われるかわかんないですし」
まあそれはそうだけど。
「――でも、秋ちゃんだってこんなになってるのに」
このままだと秋ちゃん以上に俺が生殺しだし、なあ。
「んー、それは、まあ、そうなんですけど」
でも、今日は私に任せてください――と、秋ちゃんは言った。
「練習の成果を見せちゃいますから」
……練習、って何だ?
がばり、と起きあがった秋ちゃんは、立ち位置を入れ替えて俺を椅子に座らせる。
「バナナとかフィッシュソーセージで毎日練習してるんですから――」
えーと。
それは、つまり――と言う間もなく。
ズボンのファスナーが下ろされ、トランクスの隙間から俺の陰茎が外気にさらされる。
そして、まだ半勃ちのそれにいきなりむしゃぶりつく秋ちゃん。
――ぬろっ。
「おっ……」
思わず声が出ちゃった。
「ふふ……先輩、可愛いです……ここも……声も……」
じゅぱっ。にゅるにゅるずぽっ。
派手な音を立てつつ、秋ちゃんは唾液を塗りたくる。
しゃぶる。舐る。包皮の表と裏を舐める。
――むくむくと大きくなっていくそれを、秋ちゃんはどこかうっとりした目で見詰める。
「やっぱり悔しいな……先輩のこれ噛み切って、わたしに付けちゃいたいです……」
「――ちょ、それは困るなあ」
どきどきどきどき。
「ふふ……ウソですよ。噛み切ったりしません」
彼女はちゅるん、と半剥けの包皮を剥くと同時に、俺のそれを本格的にくわえ込んでしまう。
そして、軽くではあったけど――
――かぷっ。
八重歯をいきなり亀頭に立ててきた。
「うぉおおおっ?」
「――はふぉはへるくはいはひまふへど(歯を立てるくらいはしますけど)」
「あう……」
こえー。超こえー。
ちくちくする歯と、舐り上げる舌のぞろぞろした感触が交互に俺をいたぶる。
そして、いつ、誰が来るかわからない倉庫の中で、こんな行為に及んでいるという事実もまた俺を興奮させる。
可愛い彼女にこんな場所でフェラチオをさせている――目の前の光景が、一層俺の快感を加速させて。
「あー……俺、もう出そうだよ、秋ちゃん……」
「……だひて、いいでふよ?」
彼女はちゅぽん、ぎゅぽん、と音を立てて亀頭を唇で搾り上げつつ、同時に舌で舐め擦る。
――やべえ。上手すぎて腰抜けそう。
かくかくと勝手に腰が動いて、より一層の快感を求めてしまう。
俺の腰が暴れそうになっても、秋ちゃんは吸い付いてまったく離れない。
ちゅるちゅるちゅるっ。ちゅぱっ。きゅぽん。じゅぱっ。ちゅぱっ。
むしろますますペースを上げて、俺を追い立てる。
「……ほら、だひちゃえ……せんふぁいっ……」
ぞろりっ。
亀頭の裏筋を撫でた舌が、そのまま先端を割って尿道に触れた、その瞬間。
「う、うああああああっ!?」
――あっけなく、俺は射精していた。
びゅるっ……びゅくっびゅくびゅくっ……
秋ちゃんの口腔内を精液が叩いていく。
彼女はそのまま、その全てを口の中に溜めて――じょじょに飲み下していく。
――ごくっ。ごくっ。ごきゅっ。
ゆっくりと喉が動く、その光景を見て。
俺はなんとも言えず、申し訳ないような――けれど幸せな気持ちになる。
「……ぷぁ」
ややあって、全てを飲み終えた秋ちゃんは俺の半分しおれた陰茎からようやく口を離した。
ついーっ……と、唾と精液の入り交じったものが糸を引く。
「……ごめんね。苦かった?」
「大丈夫です……先輩のですから……あ、ちょっと待ってください」
陰茎をズボンにしまおうとした俺を止めた秋ちゃんは、何を思ったのかもう一度それを含んだ。
「ちょ……何?」
「――綺麗にしてあげますから」
ぬろり、と、亀頭や包皮周りに残っていた精液を、秋ちゃんは丁寧に舌で舐り取っていく。
――ちゅるん。
「ほら、これで可愛くなりましたよ、先輩」
むう。
確かに綺麗に、ぴかぴかにはなったけど。
そんなことをされると、また、ほら、ね。
「……ありがと。でも、なんか、また勃ってきちゃいそうだな」
「ふふ――あとは、帰ってからにしましょうね、先輩」
いそいそと起きあがってきそうなそれを、秋ちゃんは半ば強引にズボンに押し込んでファスナーを上げてくれた。
「うお……なんか、一回出したのに生殺しな気分」
「ふふ。それが私の戦略なんですよー」
「戦略?」
「です。いつも、先輩が私のことを考えてくれるように――って」
そう言って、にっこり笑う秋ちゃん。
………………。
ああもう可愛いなあこんちくしょー。
と、そう思った時――
俺の携帯からメール着信音が鳴った。
見ると――橘花からだった。
「お、橘花もう着いたみたいだな」
「……じゃあ、そろそろ行ったほうがいいですよね、先輩」
「ああ――」
自然と、俺は秋ちゃんの手を握っていた。
「――先輩?」
「一緒に、行こうぜ」
「え? ……いいんでしょうか」
「いいに決まってるじゃん」
恋人同士なんだし。
「でも、今来たのは高村さんですよね? 私が一緒にいていいんでしょうか」
「だから? 別に関係ないだろ」
なんでそれを気にするのかよくわからない。
しかし、秋ちゃんは若干悩んでいる様子。
んー、とか唸っている。
「まあ、先輩がそう言ってくれるなら、それでいいんですけど……」
ふぅ、とちょっと息をついてから、秋ちゃんは改めて俺の手を握ってきた。
「それじゃ、エスコートお願いしますね、先輩」
そう言う秋ちゃんの笑顔にはもう屈託はない。
「んー? ああ、任せとけ」
今の会話――というか、女の子の心理はどうもよくわからないところもあるけれど。
まあ、秋ちゃんは可愛いし。
それでいいや――と、俺は思った。
「Last Autumun's Dream」End.